事業者名  万葉線株式会社
事例名称  加越能鉄道から万葉線へ生まれ変わり
概要
 乗客減から民間経営では維持が困難になった鉄軌道線「万葉線」を、全市民的合意の下、全国初の第3セクター方式の路面電車として存続させた。
取組の様子  
高岡市内を走る新型車両MLRV1000
協力者・関係者
富山県及び高岡・新湊の沿線2市
万葉線対策協議会(富山県、高岡市、新湊市、加越能鉄道の他、商工会議所、沿線連合自治会、婦人会等で組織)
万葉線を愛する会(市民をはじめ、幅広い愛好者・支援者で組織)
路面電車と都市の未来を考える会・高岡(まちづくりの観点から万葉線の存続を働きかけてきた市民団体。通称「RACDA高岡」)
背景
 高岡市は、マイカーの普及による中心市街地の空洞化、都市の沈滞化が著しく、新湊市は、「鉄道のない市」になることによる都市の沈滞化に不安を持っていた(過去に富山地方鉄道射水線廃線の経験あり)。 こうした状況下、「万葉線は、これからの高齢社会に対応するため、また、沿線両市の再活性化のため必要不可欠な社会資本である」という認識に立ち、地域において第3セクター「万葉線株式会社」を設立し加越能鉄道から路線を引き継いだ。
内容
対象路線:万葉線株式会社高岡軌道線・新湊港線(愛称 万葉線)
実施時期:平成14年4月1日より営業開始
加越能鉄道より資産譲受 
資本金:富山県、高岡市、新湊市、市民等が出資。

鉄道事業者、沿線自治体の概要
事業形態   :第一種鉄道事業者
営業キロ   :4.9km
主な沿線自治体及び人口(平成15年3月末):高岡市・171,463人、新湊市・37,585人
   
効果
万葉線鰍ニなって初年度である14年度の輸送人員が100万人を回復(※加越能鉄道最後の平成13年度は98万8千人)
運賃収入等も対前年度比微増。
その結果、経常損失が大幅に減少。
各種イベント時における送客増加等により、周辺地域の活性化に寄与。
成功(失敗)理由
平成16年1月に導入した新型車両(アイトラム)は、斬新なデザインから沿線のイメージアップに大きな効果を生んでおり、この車両を見るために各地からファンや親子連れが訪れ、高岡・新湊両市の活性化にもつながっていること。
路線の存続にあたって、利用者はもちろん、行政・議会・財界・支援団体など地域社会・各階から幅広い合意を得た上でスタートすることができたこと。特に、開業にあたり市民からの寄付が1億円を超えるなど市民レベルでも支援する土壌ができていたこと。
「絵に画いた餅」ではない現実的な収支計画と、それに対応できる支援体制が確立されていること。
車体広告の募集、各種イベントの開催など積極的な増収対策を実施したことにより、輸送人員、収入の増加に結びついたこと。また、人件費の圧縮、その他経費の節減、を行ったことにより、経常収支が大幅に改善したこと。
各種イベントにおいて、運賃の割引やパーク&ライドを行うなど電車利用促進策を取った結果、「電車に乗ってイベントに」という意識が定着しつつあること。
今後の課題
営業開始から約2年経過したものの、限られた人数での運営であり、営業体制が整っているとは言い難い状況にある。営業を含む体制の強化を早急に図る必要がある。
公共交通機関を取り巻く環境はさらに厳しさを増しており、また開業から約2年間が経過して、当初計画とはそぐわない面も現れてきており、経営計画を再検討する必要がある。
お問い合わせ先  北陸信越運輸局